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顎変形症の治療

Medical

当院の顎変形症の治療の特長

当院におけるデジタルテクノロジーを用いた治療システムを併用することで、診断用の三次元(3D)モデルで患者様の歯列や咬合の問題を正確に診断し、個別に合わせた治療プランを作成することができます。これにより患者様にとってもわかりやすく、より効果的な矯正治療が受けられるので、安心して治療に取り組むことができます。

顎変形症とは

顎変形症とは、顎(あご)の骨の大きさや形、位置の異常によって、顔の変形(ゆがみ、ねじれ)やかみ合わせに大きなずれが生じている状態をいいます。生まれつきの先天性と、生後に生じる後天性があります。症状としては、食物を噛み砕く効率が著しく低下していたり、歯の間に隙間が多いため言葉(発音)が不明瞭になったりします。また、顎のゆがみが左右の筋肉バランスに不調和を及ぼし、顎の関節の病気や肩こりの原因になることもあります。下顎が小さいと睡眠時無呼吸症候群の原因となることも知られています。
顎変形症の発症には、遺伝的な要素が関係しているといわれていますが、多くの場合、明らかな原因は不明で、指しゃぶりや舌を出す癖なども要因として考えられています。
生まれつきの病気が原因の顎の変形は、幼少期からすでに明らかになっていますが、後天性の場合、多くは小さい時期には異常に気付かず、顎が急成長する思春期ころに明らかになってきます。顎変形症は様々な障害を引き起こすだけでなく、顎の変形を伴った容貌に対して悩みを抱えたりすることも少なくありません。成長期のお子さんであれば、矯正歯科治療で顎骨の成長をコントロールしながら骨格に問題のある歯並びを改善していくこともできますが、骨の成長が止まっている成人の場合、矯正装置だけでは十分な結果が得られず、治療が難しくなってきます。そこで選択肢として、矯正歯科治療に外科治療を組み合わせた「外科的矯正治療」があります。顎骨の著しい変形を骨切除手術と矯正歯科治療によって改善する方法で、通常の矯正歯科治療ではできない矯正が可能となります。
以下は、顎変形症によくみられる症状や状態です。「もしかしたら顎変形症かも」とお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。

 

【顎変形症によくみられる症状・状態】

☑良く噛むことができない
☑上下の隙間があいている(開咬)
☑顔が左右非対称で歪んでいる(顔面非対称)
☑出っ歯(上顎前突 or 下顎後退)
☑受け口(下顎前突)
☑下顎が小さすぎる(下顎後退)
☑口をうまく閉じることができない(上顎前突or下顎後退)
☑発音しづらい
☑笑うと歯茎が目立つ(上顎前突)

顎変形症のタイプ

顎の変形には、上顎骨(じょうがくこつ:うわあご)の変形、下顎骨(かがくこつ:したあご)の変形、上下顎骨の変形があります。また、過剰な成長による変形と成長不足による変形に分類することができます。代表的な顎変形症には、上顎骨が突き出た上顎前突症(出っ歯)、下顎骨が突き出た下顎前突症(受け口)、逆に下顎骨が小さい小下顎症、前歯がかみ合わない開咬症、左右の顔の大きさが異なる顔面非対称などがあり、それぞれに特有の不正咬合(かみ合わせの異常)と顔面変形を伴います。

 

下顎の変形

下顎前突症(かがくぜんとつしょう)(受け口)

日本人で最も頻度の高い顎変形です。上顎に対して下顎が前方にある状態で、一般に「受け口」といわれています。かみ合わせたときに、下の前歯が上の前歯よりも、前に出てしまう反対咬合がよくみられ、いわゆる「しゃくれ」とよばれる顔貌になります。
下顎の骨の過剰な成長によって、下顎が上顎よりも大きくなった場合(骨格性)と、下の前歯が前方に極端に傾斜している場合(歯性)があります。矯正治療で治るケースもありますが、外科手術が必要になることもあります。

小下顎症(しょうげがくしょう)

下顎の成長が悪く、上顎に対して下顎が後退した状態です。両側性と片側性があり、両側性の場合は、横顔があたかも鳥のような顔つき(鳥貌様顔貌)になります。舌の根元が喉の奥に落ち込んで、空気の通り道が狭くなることから、いびきなどの呼吸困難、ひどい場合は睡眠時無呼吸を起こすこともあります。一方、片側性の場合は、骨や軟部組織に発育障害が起こるため顔面が非対称になります。

開咬症(かいこうしょう)

上の前歯と下の前歯の間に隙間ができ、奥歯でしっかり噛んだときにも上下の前歯が噛み合わない状態をいいます。このため前歯でうまく食べ物を噛み切ることができず、程度が強いと胃腸への負担が大きくなります。サ行とタ行の正しい発音ができないといった症状がみられることもあります。また、常に口が開いている状態になるため、気付かないうちに口呼吸をしていることが多くなります。

顔面非対称(顔のゆがみ)

顔のゆがみには、上顎骨の高さの差に原因があるもの、下顎骨の左右の長さに原因があるもの、それら両方が原因となるものがあります。上顎に原因がある場合、口角の高さに左右差が認められ、上下の唇を閉じたとき、閉じた線が水平に対して傾きます。下顎に原因がある場合、下唇が顎の短いほうに寄ったゆがみを認めます。

顎変形症の診断

顎変形症では、食べ物が食べにくかったり思うように喋れなかったりと、様々なところに不調が出てきまので、まず、診察と検査が必要になります。通常の矯正治療の検査以外に、歯形を採取し、患者様の頭部と上顎の位置関係を咬合器で再現するフェイスボートランスファーを行い、模型上でのかみ合わせの診査を行います。また下顎の運動記録や筋電図記録(K7 エバリュエーションシステム:特定保守管理医療機器)を行い、噛み合わせの診断も行います。顎骨の三次元的形態把握のためにCT撮影を行います。さらに顔の側面および正面写真による軟組織の形態診査なども行います。

 

※当院における顎変形症の検査に関しては平日の15時までのみとなっております。ご了承ください。

顎変形症の外科的矯正治療

軽度の顎変形症は矯正治療のみで対処可能なケースもありますが、上顎や下顎の骨に変形があるものでは、歯並びを矯正しただけでは十分な結果が得られないため、外科的に矯正する顎矯正手術(外科的矯正治療)を併用します。この治療は、口腔外科または形成外科と一緒に治療方針を検討した上で、連携をとりながら進めていきます。

手術では、異常のある顎骨を骨切りし、理想的な位置に移動させ、移動後は骨切りした部位をプレートやスクリューネジなどで固定します。口の中の切開によって行われるため顔に傷がつくことはありません。顎の成長発育が終了する年齢(17歳から20歳以降)に行います。矯正治療は、手術前に歯並びを整える術前矯正を6カ月から2年かけて行います。手術後もかみ合わせをより安定させるために術後矯正を行います。期間は6カ月から1年を要します。

なお、顎変形症の治療は、矯正治療と顎の手術・入院を含めて健康保険が適用されます(「顎口腔機能診断施設」の届出をしている施設での治療に限ります)。

 

【顎変形症に用いられる主な顎矯正手術】

上顎骨切り術(ルフォー1型骨切り術)

上顎全体の移動を行う方法です。上唇の内側の歯ぐきを切って鼻の横(下鼻道)くらいの高さから水平に骨を切ります。これにより歯がついたまま上顎全体を、正しい位置に移動することができます。移動後は、骨接合用のプレートとスクリューネジで上顎を固定します。

 

下顎骨切り術(SSRO:矢状分割骨切り術)

歯列を含めた下顎全体を移動させる方法です。下の奥歯の外側の歯ぐきあたりを切って下顎骨を見えるようにします。そこから左右の下顎骨を内側と外側に分割し、外側の顎関節部分の骨は現在の位置を保持して、歯のついている内側の骨のみを正しいかみ合わせの位置に移動します。移動後は、骨接合用のプレートとスクリューネジで分割した2枚の骨を固定します。

 

上下顎分節骨切り術(セットバック)

上下の歯槽骨や顎骨を切除して、歯ぐきの骨を後ろに移動する方法です。

上下の前から4番目か5番目の歯(小臼歯)を抜歯し、その部分の上下の歯ぐきの骨(歯槽骨)と顎骨を切除します。切除によってできたスペースを詰めるように、歯槽骨を後方に下げて(セットバック)プレートとスクリューネジで固定します。

 

オトガイ骨切り術

オトガイとは顎先の骨のことです。オトガイ骨切り術は顎先の骨の位置や形を調整する手術で、顎の長さを短くしたり、顎を前後に移動したり、顎骨を左右どちらかに動かして非対称を改善したりします。

手術内容や入院期間、手術に関する通院期間など詳しい内容につきましては、手術を行う主治医にお尋ね下さい。